2018年にカジノ法案(IR実施法)が成立して以来、カジノがもたらす影響について賛否両論さまざまな意見が出ています。カジノが生み出す経済効果が一番のメリットとされていますが、その反面、ギャンブル依存症というデメリットも懸念されています。他にもカジノのメリット・デメリットが多数ありますのでそれをご紹介したいと思います。
目次
カジノ法案(IR推進法)とは?
カジノ法案はIR推進法とも呼ばれています。
IRとは「統合型リゾート」のことで、カジノだけでなく、劇場、国際展示場・会議場、映画館、アミューズメントパーク、ホテル、レストラン、ショッピングモールなどを集めた大規模なリゾート施設のことです。そのリゾート施設でカジノをすることができるのでカジノ法案と呼ばれています。
カジノのメリット
日本にカジノができることで、どんなメリットがあるでしょうか?ここではカジノ導入の4つのメリットをご紹介いたします。
- 外国人観光客の増加による経済効果
- 税収の増加
- 地域雇用の増加
- インフラ整備による地域の活性化
外国人観光客の増加による経済効果
日本にカジノができれば、観光スポットとして海外からの観光客が増加すると考えられます。外国人観光客がカジノやリゾート施設、地域のショップやレストラン、ホテルなどで外貨を使ってくれることで収益が増え経済効果はとても大きいものになります。
税収の増加
外国人観光客がお金を使うことで税収の増加につながります。カジノの収入によって税収が増えることで、医療費や教育費や福祉など国民にさまざまな補償が増加するメリットがあります。
たとえば、マカオのカジノの税収は約1兆2300億円ほどあるようで、それによってマカオ市民は教育費の無料、医療費の補助を受けています。
日本におけるカジノの税収の見通しとして、カジノの収入の30%~50%がカジノ税となり、3000億~5000億円程だと考えられています。
地域雇用の増加
雇用が必要になるのはカジノだけではありません、カジノを含むIR(統合型リゾート)全体で雇用が増加します。リゾート施設の劇場、国際展示場・会議場、映画館、アミューズメントパーク、ホテル、レストラン、ショッピングモールなど、さまざまな場所で働く人が必要になり、当然雇用が増加します。結果、職を探している人が減ることになり、職場も職種も多数ありますので選択肢も増えることもメリットの1つです。
たとえば、カジノだけでも職種としても多数あります。
- ディーラー
- フロア・パーソン(テーブル)
- テーブルマネージャー
- シフトボス
- ピットボス
- フロア・パーソン(スロット)
- チェンジ・パーソン
- メカニック
- カジノホスト
- カジノコンシェルジュ
- セキュリティ
- その他接客
インフラ整備による地域の活性化
インフラ整備とは、産業や生活に必要な施設やサービスのことです。たとえば、IRを作ることによって必要となる公共施設の増設や改善、道路建設や道路拡張、水道管の増管や延伸、港湾施設建設、港の防波堤の建設や修繕、駅やバスなどの増設や修繕、などを指します。それにより、地域が非常に活性化されます。
カジノのデメリット
カジノの導入について反対意見も多数でています。ここではカジノのデメリットを考えてみましょう。
- ギャンブル依存症の増加
- 文化や伝統が失われる
- 治安の悪化
- マネーロンダリングの可能性
ギャンブル依存症の増加
一番懸念されているのは、ギャンブル依存症の増加です。カジノはパチンコや競馬などと同じにお金を賭けるギャンブルですが、特にカジノは大きなお金が動くギャンブルとされています。実際に海外のカジノにおいて、一攫千金を狙った無謀な賭けや、負けを取り戻すために冷静さを失う賭けなどをして、自制できずに気がついたらギャンブル依存症になるケースが多数あります。
また、ギャンブル依存症により多額の借金をする人も増加することになると想定されています。
日本の厚生労働省によると、ギャンブル依存症の人は国内に360万人ほどいるようですが、カジノができることでギャンブル依存症は増加し続けると予想されています。
海外のカジノ依存症事情を見ると、ラスベガスがあるネバダ州在住の人達において、約50%はギャンブル依存症だといわれています。
文化や伝統が失われる
カジノを含むIR(統合型リゾート)は、巨大なリゾート施設になります。また、それに伴い、上下水道、電力、道路、公共施設などを建設しなければならないので、大規模な土地が必要になります。そのため、文化的歴史的財産が取り壊され、日本の文化や伝統が失われる可能性があります。
治安の悪化
カジノが観光スポットになることで、外国人観光客が増えるのは良いことですが、外国人のマナーや文化や意識の違いなどで、トラブルがおこり治安が悪化する可能性もあります。
また、カジノで自制を失った人達がトラブルを起こす可能性も懸念されています。治安の悪化を防ぐには、警備の強化が必要になり、それによって警備のコストが増えるというマイナスの影響も出てきます。
マネーロンダリングの可能性
マネーロンダリングとは、簡単にいうと「資金洗浄」です。犯罪や脱税など非合法で得たお金を、出所がわからないようにクリーンなお金にする(洗浄する)ことです。
たとえば、カジノはチップを使ってゲームをするのを利用し、カジノで非合法のお金でチップを買い、ちょっとゲームをした後、残りのチップを現金化することで、クリーンなお金に変えることができます。
カジノのデメリットに対しての規制や法案
日本人や日本在住者がカジノに入場する際は入場料を取ることが、日本人のギャンブル依存症対策としています。入場料は6000円としています。
その対策の効果ですが、実際、シンガポールでは、シンガポール在住の人から入場料を取ることで、カジノに行く人が少なく、ギャンブル依存症をおさえているようです。
海外のカジノ(IR)の収益モデル
世界には多くのIRがあり、そのほとんどがカジノで収益を出しています。世界的に有名なカジノ施設として「ラスベガス」「マカオ」「シンガポール」がありますが、それぞれ運営や収益に特徴があります。
ラスベガスのカジノ
カジノと言えばラスベガスですが、ラスベガスではカジノだけではなく、ホテル、イベント、ショー、サーカス、コンサートなどの事業も盛んで、カジノでの収益より、イベントなどの収益の方が上回っています。テーマパーク型のホテルや人気アーティストのコンサートなど非常にレベルの高いイベントを常に開催することで、世界中から観光客を取り込んでいます。
マカオのカジノ
マカオはカジノに特化しており、カジノの収益はIR全体の7割を占めています。また、その7割のほとんどは富裕層向けの高額カジノで、ひとりが一晩で数百万から数千万使うのは珍しくありません。利用者の多くは中国人やアジアの富裕層です。この富裕層の収益に依存していますのでリスクも大きいといえます。
シンガポールのカジノ
シンガポールのIRはカジノの収益だけに頼らず、ホテル、イベント、などにも力を入れ収益を上げています。ラスベガスのカジノとマカオのカジノの中間のスタイルです。カジノの収益は全体の約半分になっており、カジノだけに依存しないよう管理されています。客層は海外の観光客で、特に中国人富裕層が多額の収益元になっています。
まとめ
カジノの一番のメリットは経済効果です。カジノ法案は基本的に海外からの観光客をカジノ(IR)に誘致し、外国人観光客がカジノやリゾート施設でお金を使ってくれることを目的にしています。
それによって国民も医療や教育、福祉などの恩恵を受けることができます。
しかしその反面、カジノのデメリットであるギャンブル依存症や治安の悪化などの問題が残っていることも事実です。その問題も含め、今後さまざまな課題が出てくる可能性はありますが、カジノだけでなくリゾート施設であることを考えると、楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。