カジノのハイローラーとは、カジノで多額の金額を賭ける人達のことです。ハイローラーの中には、まるで映画の世界のような驚愕の金額を賭ける人がいます。たった数十分で20億円稼ぎ出す人、1回の勝負に1千万円賭ける人、3日で100億円負ける人、勝ち方も負け方も一般では理解できない人たちです。今回は伝説のハイローラー達をご紹介したいと思います。
目次
ハイローラーとは?
ハイローラー(High Roller)とは、カジノで多額の賭け金を使う人のことです。
ハイローラーが一日にカジノで使う金額は、数百万から数千万円以上。プレイヤーによってはたった1回の賭けに100万円を使う人もザラにいます。
ハイローラーの上には、常識では考えられないような巨額の大金を賭ける人たちがいて「ウェール(鯨のような大物ハイローラーのこと)」と呼ばれています。「ウェール」の中には1ゲーム1億円賭けてプレーする人もいます。
ここからは、ウェールレベルのハイローラーたちをご紹介したいと思います。
柏木昭男
日本人でカジノ史に残る伝説のハイローラーといえば柏木昭男でしょう。
1990年、アメリカの45代目大統領ドナルド・トランプが経営していたカジノで世紀の大勝負をしたことが有名です。
きっかけは、1990年の1月にオーストラリアのカジノでバカラに挑み、4日間で29億円の大勝利を収めたことでした。カジノ界で柏木昭男はハイローラーとして一躍有名になり、世界中のカジノから招待状が殺到しました。その中の一人がドナルド・トランプ。
そのころドナルド・トランプはアトランティックシティに巨大ホテル「トランプ・プラザ」を所有しており、そのホテルに併設していたカジノでバカラに挑み、結果23連勝し、約9億円(600万ドル)の勝利を収めました。このことで、ドナルド・トランプが恐れる日本人のギャンブラーとして広く知れ渡りました。
しかし、その大勝利の後、さらに大勝負した結果、逆転負けで約15億円(1000万ドル)という、これもまたすさまじい負け方をしています。
柏木昭男は、ウォールストリート・ジャーナル新聞の一面に「世界で最も派手なギャンブラー」と紹介されています。また、海外のカジノ業界において、日本の武士のように恐れを知らない男として「ウォーリアー(武士)」というニックネームがつけられました。
柏木昭男は、1937年に山梨県富士吉田市で生まれ、家が貧しかったため中学卒業後は農業の手伝いや富士山の強力(登山者の荷物を背負い道案内をする仕事)で身を立てていました。その後、バブル期に不動産業、貸金業で億万長者になり「不動産王」と呼ばれるようになりました。
その頃から1回の勝負に1千万円~2千万円をベットし始めたようです。彼は海外のカジノに毎月出かけていましたが、VIP待遇で渡航費、宿泊代、食事代はすべてカジノ側が負担していたそうです。
ところが、1992年、当時54歳の柏木昭男は、時価50億円と推定される「柏木御殿」の台所で、首や胸など二十数か所をメッタ刺しにされたのち、死体となって発見されました。
不動産王になるまでに、かなり悪どい商売をしていたようで、嫌がらせや脅迫を受けて恨みを持つ人は多かったようです。
殺害された1カ月後、暴力団組員を殺人容疑で、組員の知人である看護師が証拠隠滅の容疑で逮捕され、解決したかと思われましたが、甲府地検は94年12月に「物証に乏しい」と不起訴にしました。
その後、犯人が見つからず2007年、未解決のまま時効が成立しました。
ロバート・デ・ニーロ主演のアメリカ映画「カジノ」に登場する日本人ギャンブラーK・K・イチカワはで柏木昭男がモデルになっています。
井川意高
井川意高は大王製紙(ティッシュペーパー「エリエール」でおなじみの会社)の会長でした。井川意高がカジノにつぎ込んだ金額は約106億8000万円という桁違いの金額。
マカオのカジノでベット上限が約3950万円(50万シンガポールドル)で勝負していたことが有名、柏木昭男と同じにホエールです。
井川意高の名前が日本で知れ渡ることになったのは、特別背任用語で逮捕されたことでしょう。カジノで作った巨額の借金の返済のために、大王製紙の子会社から膨大な資金を不正に借り入れたことが逮捕の理由でした。
井川意高は大企業の御曹司として生まれ、現役で東大に合格し、その頭の良さや経営手腕がかわれ42才で社長に就任しました。また、井川意高が有名なのは、カジノだけではなく、私生活での豪遊ぶりも有名です。
女優や女性タレントやモデルと交際し芸能人と交流するなど、これだけ恵まれた人生をおくっていたのに、なぜカジノにのめりこんでしまったかは、2013年に出版された手記『熔ける -大王製紙前会長 井川意高の懺悔録-』に書かれていますので興味がある方は読んでみてください。
テレンス・ワタナベ
テレンス・ワタナベは日系二世のアメリカ人。彼が有名なのは負けた金額の多さです。彼は5年間で220億以上を失いました。
また、カジノで負けた金額は約114億円以上(1億2700万ドル)。カジノ側に支払わなかったことで訴訟されました。
ところが、テレンス・ワタナベも逆にカジノ側に対して訴訟します。テレンス・ワタナベの言い分としては、カジノ側が自分に酒を飲ませて酩酊状態、中毒状態にして逃げられないようにしていたと訴えました。
ちなみにテレンス・ワタナベは破天荒なギャンブラーで、ブラックジャックでセオリーを無視するなど、ギャンブラーとしては一流とは言えないようです。
フィル・アイビー
フィル・アイビーは20代で「ポーカー界のタイガー・ウッズ」の異名を持つ天才ギャンブラーです。フィル・アイビーは23歳の時にワールドシリーズオブポーカー(WSOP)で栄冠を獲得し、その後3つのタイトルを獲得するなど、ポーカー界では非常に有名です。
フィル・アイビーは世界的に大きいトーナメントにはよく参加しますが、彼の伝説のゲームは、2006年2月に行われたアンディ・ベール(数学界の権威)との対戦です。3日におよぶ対戦で、フィル・アイビーは約17億7000万(1660万ドル)を手にします。
チャールズ・バークレー
チャールズ・バークレーは、元NBAのバスケットボールの選手で、NBAでは伝説的な超一流プレイヤーです。
そんな彼がカジノ界で有名になったのは、約8000万円(70万ドル)の勝ったとき、ディーラーに約280万円(2万5000ドル)をチップとして渡したことです。また、カジノ側と訴訟を起こすなど、何かと話題を呼びました。
ちなみにチャールズ・バークレーは「空飛ぶ冷蔵庫」や「野獣」などのニックネームで知られています。
ドン・ジョンソン
ドン・ジョンソンはブラックジャックとポーカーでのプレイヤーとして知られていました。彼は、ギャンブラーとして一流ですが、交渉人としても一流で、最強の頭脳派プレイヤーでした。
彼が頭脳はプレイヤーとして有名になったのは2010年。高額ベットのゲームに招待されたドン・ジョンソンは、ラスベガスの3つの異なるカジノから、半年で約16億円(1,500万ドル)を獲得しました。
その時、彼はカードをカウントする代わりに、カジノにいくつかの条件でプレイする特別なルールを交渉して勝負しましたが、カジノ側はハウスエッジの計算を誤り、ドン・ジョンソンが提案した条件を承諾した結果、ドン・ジョンソンにブラックジャックで1,500万ドルという巨額の賞金を持っていかれてしまいました。
ちなみに、彼が稼いだ3つのカジノの内、ラスベガスのシーザーパレスでは出入り禁止になっています。また他の2つのカジノから制限をもうけられました。
ケリー・パッカー
ケリー・パッカーは、オーストラリアのテレビネットワークと出版会社をもつメディア王です。世界各国のカジノで次々とハイロールを見せた、怖いもの無しのギャンブラーの1人として知られています。
1992年にはヒルトン・ラスベガスで約10億を勝利したり、MGMでは1ベットにつき30万ドルの賭けで、合計3300万以上を獲得したと言われています。また、ブラックジャックテーブルで、40分のプレイで20億以上を獲得したという逸話もあります。
それとは逆に、負け金も巨額でロンドンのカジノで25億円負けたといわれています。
カジノ歴は40年。ケリー・パッカーが遺した資産総額は、約7,000億円以上だといわれています。ケリー・パッカーの息子であるジェームズ・パッカーもカジノ界では超有名人で、ギャンブラーとしてではなく、カジノの経営者として名前が知れ渡っています。
オーストラリアの巨大カジノリゾート「クラウンメルボルン」や「クラウンパース」、マカオやラスベガスなど世界各国でカジノを経営し大成功しています。
アドナン・カショギ
アドナン・カショギは、ブラックジャックとバカラのハイローラーで、サウジアラビアの武器商人でした。
彼は主にバカラをプレイし、ロンドンのカジノを訪れるときはいつも数億のお金が動いていたことで有名です。
大勝した時は、ヒルトンインターナショナルの売上業績を10%以上も下げてしまったという伝説があります。逆に、わずか3か月で約14億円をカジノで豪快に負けたとも言われています。
残念なことに彼は2017年、パーキンソン病の治療中に亡くなりました。アドナン・カショギは1997年、ダイアナ妃と共にパリで事故死したドディ・アルファイドの叔父にあたる人物です。
ハサナル・ボルキア(ブルネイ国王)
ハサナル・ボルキアは、ブルネイ国の王様です。莫大な資産を持っており、ロールスロイス、フェラーリ、ランボルギーニなど超高級車を何千台も所有していることでも有名です。
これだけ巨額の資産を持っているだけに、ベット額は破格で、賭け方も豪快です。ラスベガスのルーレットで、ルーレットの全てのテーブルに2500万円(約22万ドル)ドルを賭けたという伝説を持っています。
最後に
カジノにおいてハイローラーと呼ばれる人は、カジノ側から豪華なサービスつきで招待されます。旅費や高級ホテルや食事は当たり前、ジェット機まで用意することもあります。
そんなにお金かけて儲かるの?と思うような超高額サービスですが、ハイローラーは一晩で数千万円落としてくれるのはざらですので、しっかり元は取ることはできます。
日本でカジノが解禁になったら海外からハイローラー達がやってくるはずです。そんなハイローラーの賭け方を実際に見てみたいですね。