みなさんは「カジノ法案」をおぼえているでしょうか? 2016年に可決された「カジノ法案」の正式名称は「IR推進法」といいます。これは、スポーツ施設、アミューズメントパーク、ショッピングモール、劇場、映画館、温泉施設、レストラン、ホテル、国際会議場および展示施設といったありとあらゆる施設を統合した「複合型観光集客施設」を建設する計画のことを指します。つまり「統合型リゾート」です。じつはそのアミューズメントの一種として政府公認の「カジノ」を併設しようという動きが活発化しています。それゆえ、「IR推進法」は、「カジノ法案」とも呼ばれるようになったわけです。現在では、「統合型リゾート」を誘致する候補地として、北海道、愛知県、和歌山県、千葉、大阪、長崎、そして東京が挙げられています。そこで今回は、候補地のひとつとして名の上がっている東京のお台場について情報をまとめていきたいと思います!
目次
東京カジノの候補地の場所
2016年に「IR推進法」が可決されたあと、「IR施設」(統合型リゾート)が建設される候補地がいくつも上がりましたが、そのなかには、東京のお台場がノミネートされています。では、そもそもどのようないきさつでお台場がカジノの候補地としてあげられたのでしょうか?
石原都知事と猪瀬都知事の「IR構想」
実は、今より十年以上前から、東京に「カジノ」をつくろうとする動きがありました。当時の石原都知事が先陣を切り、カジノを合法化しようという提案がなされていたのです。
しかも、この時点で「お台場にカジノ」というビジョンが石原都知事にはありました。つまりこの頃から、すでに「IR施設」(統合型リゾート施設)の構想や着想があったわけです。そう考えるとなかなかスゴイ話ですよね。
石原都知事の「IR構想」は、メジャーにはならなかったものの、一部の報道や経済紙などでたびたび取り上げられましたが、結局実現の運びには至らずに終わります。
その後、世代交代で猪瀬都知事がバトンタッチすることになるわけですが、猪瀬都知事もまた、元・石原都知事の派閥にあったために、「IR構想」を唱え続けた人物でした。石原都知事のビジョンを実現するつもりだったのでしょう。
2013年頃には、この「カジノ合法化」の話題が国会にまで届き始め、同年には「IR推進法案」が上程されます。その点では、猪瀬都知事は間違いなく功績があったと言えるでしょう。
もしも猪瀬都知事がスキャンダルなくそのまま都知事を続けていたならば、ほぼ間違いなく、IR施設(統合型リゾート)の候補地が「東京」か「大阪」に絞られていたと言われています。
つまり「お台場にカジノ」が本当に実現する可能性があったわけですね。いまでは候補地が北は北海道、南は長崎まで範囲が拡大してしまいましたが…。
舛添知事は「IR構想」に消極的だった
猪瀬都知事の退陣後に都知事となったのは、舛添氏でした。舛添知事が石原氏と猪瀬氏の「東京IR構想」を引き継いでくれれば万事問題なく計画が進行すると予想されましたが、なんとここで、舛添都知事は東京に「IR施設」(統合型リゾート)を建設することに消極的な意見を示しました。
せっかく流れにのってきた「東京IR構想」なのに、どうして舛添知事は否定的な見解を打ち出したのでしょうか?
単純に興味がなかったとも言えますし、自民党内の派閥事情なども背後にあるという人もいます。どちらにせよ、舛添知事時代に、「東京IR構想」の流れが悪くなったのは間違いありません。
小池都知事と「IR構想」
その後、2016年の東京都知事選で小池都知事が誕生します。小池都知事は東京オリンピックという一大イベントを成功させる中で、あわせて東京の観光ビジネスにさらなる一石を投じたいという考えがありましたので、舛添知事時代に風向きが悪くなってしまった「東京IR構想」の舵取りを仕切りなおす意向を示し、積極的な姿勢を見せました。
お台場へのIR施設の誘致の盛り上がりがすっかり冷めてしまった中で、小池都知事は、新たな候補地として「旧築地市場」を挙げます。豊洲移転後のがらんとなってしまう築地市場を、IR施設の誘致で復活させようと考えていたのでしょう。
ところが、折り合い悪いことに、小池都知事が当面のあいだエネルギーを全力で注いでいるのは、2020年にひかえる「東京オリンピック」です。毎日の業務や多くの人員が、ほぼすべて東京オリンピック関連に向けられているため、とてもじゃありませんが、「東京IR構想」に時間を割いていられないのが現状です。
やはり有力候補地は「お台場」?
つまり総合的にみてみると、十数年前から、実はいち早く石原都知事が「東京IR構想」を先見的に打ち出しており、年々その実現に向けて舵を取り始めたのはよかったのですが、東京都政は、他の都市とはちがって「東京オリンピック」という大事業を抱えているために、「IR施設」すなわち「統合型リゾート」の誘致に向けてエネルギーを注げないのが現状だということが分かります。
もしも東京にIR施設が誘致できるとするならば、候補地は石原都知事時代から言われているとおり「お台場」である可能性が高いと言われています。
小池都知事は豊洲移転後の旧築地市場をうまく利用しようと考えているので候補地を「築地市場」としていますが、旧築地市場の人たちとの折り合いをつけるのがおそらく難しいことが予想されています。なので、東京の最有力候補はやはり「お台場」なのです。
東京カジノができる可能性
申請を検討中(2019年8月現在)
東京オリンピックという一大イベントの陰に隠れてしまい、いまでは東京の「IR構想」は話題として目立たなくなっていますが、現在でもなお、「IR施設」(統合型リゾート)の誘致には動きがあります。現実的な候補地は、「お台場」と「臨海副都心」。最近では、新たに臨海副都心の開発計画東京ベイエリアビジョンにてIR誘致の復活の兆しを見せ始めています。
東京にカジノができた場合の経済効果とメリット
東京にカジノやIR施設(統合型リゾート)が開業した場合、いったいどれほどの経済効果があるのでしょう? 気になるところではありますよね。
この経済効果の試算は、経済学者やシンクタンクの研究員によってかなりバラツキがありますから、一概には言えないのが現状ですが、だいたいで見てみると、建物の建設需要で約8,000億円の効果が見込まれると言われています。また、実際にカジノやIR施設(統合型リゾート)を運営すると、年間で約3兆円規模の経済効果があるという試算があります。
カジノやIR施設(統合型リゾート)を実現する第一のメリットは、「建設需要」による経済効果です。施設を建築するということは、建築業界がかなり儲かることを意味します。
建築業界の仕事の受注は多くなるので、必然的に建築業界の雇用も促進されます。雇用が創出されれば、従業員のフトコロが温まりますから、家や車やその他もろもろのことにお金を積極的に使ってくれるようになれば、その分だけ、経済は潤います。
これがいわゆる「好景気」の仕組みです。なので、シンプルに経済学っぽく考えれば、カジノやIR施設を実現する段階で、すでに経済効果が十分に見込めるという結論に至るわけなのです。
そして第二の経済効果は、カジノやIR施設(統合型リゾート)が実際に開業することによるメリットです。東京に「カジノ」が出来たとなれば、当然ですが国内だけでなく海外の人々にも非常に高いアピールポイントとなります。
訪日観光客数のさらなる増加にくわえ、お金を使う単価も増えていくのではないかという予想もたてることができるでしょう。東京にカジノやIR施設(統合型リゾート)が出来れば、これまで以上の「インバウンド効果」(観光客の消費需要)が見込めるかもしれないのです。
お台場ってどんなところ?
さて、東京のIR誘致の最有力候補のひとつである「お台場」ですが、そもそもこの場所は、どんなところなのでしょうか?みなさんも、東京観光の際に一度は訪れたことがあることでしょう。
フジテレビの本社で有名なお台場は、「臨海副都心」を形成する港区の埋め立て地です。
90年代にレインボーブリッジやゆりかもめなどのインフラ開発が急速に発展し、ショッピングモールやフジテレビなどもあわせて完成すると、やがてお台場は観光スポットとして知られるようになりました。
最後に
さて、みなさんいかがでしょうか。日本の中心地である東京のIR誘致に紆余曲折があり、今後まだまだどうなるか分からないのが現状です。もしも「お台場」にカジノや統合型リゾートが完成すれば、これまで以上に東京の魅力が増すことは間違いないでしょう。
候補地は他にもいくつかあり、東京がIR誘致先になるかはまだわかりませんが、期待して見守っていきたところですね。